関東甲信地方もいよいよ本格的な梅雨のシーズンに突入しました。
今シーズンは比較的週末は晴れの日が多かったのですが、
今週末は久しぶりの雨となり、宿泊されるお客様も少なくて静かなキャンプ場となりました。
そんな梅雨の時期や夏場の雷雨などキャンプ時に心配なのがテントの防水性。
何年か使用しているとフライシートの撥水性がなくなったり、
シームの劣化などで雨漏りを経験された方も少なくないと思います。
テントなどは屋外で使用しますので紫外線の影響でポリエステル生地が劣化したり
購入当初は高い撥水性を発揮していたものも経年に伴い落ちてきます。
裏面のPUコーティングはそれほど劣化はしないので撥水加工が落ちたからと言って
すぐに雨漏りすると言う訳ではありませんが、早めのメンテナンスで予防対策をしておきます。
そこで今まで使用してきた撥水剤で比較的良かったのを2つ紹介したいと思います。
まずは一部のユーザーの間では有名な信越化学工業の『POLON-T』。
シリコーン系の溶剤タイプの撥水剤で使用用途は本来は木材やコンクリート等ですが
テントやタープなどに使用されている方も多いですよね。
『藤倉応用化工 オンライン通販サイト』で扱ってます。
溶剤(ガソリン系?)なので揮発性が高いのが難点で、のろのろと作業していると
塗るより揮発するのが早いくらい・・・。(^-^;
塗布する前提としてフライシートなどの撥水加工がほぼなくなっている事。
撥水加工が残っている状態では当然ですが撥水剤が生地に浸透しないので
あまり効果は期待出来ません。
また塗布前に一度洗って表面の汚れなどを落としておくといいですね。
汚れが付着した状態だと均一に塗布出来なかったり、独特な匂いが残った事もありました。
それから施工は屋外の換気のいい場所で必ずしてくださいね。
なお本来はテント用ではないので施工に伴い生地によっては変色やブランドロゴなどプリント部の
剥がれ等があるかも知れませんので、あくまで施工される際は自己責任でお願いします。
そしてもうひとつは今シーズンに施工してまずまずの効果を上げた施工方法です。
『シリコンシーラント(クリア)』を溶剤で溶かして施工する方法です。
ネットではペイントうすめ液やベンジン等で薄めて使用されている方が多い様で
今回はシリコンシーラントをペイントうすめ液の10%程度の割合で塗布してみました。
用意するのは
・シリコンシーラント(クリア)※透明のやつ
・ペイントうすめ液
・コーキングガン
・ハケ
・ホイッパー(溶剤を混ぜるのに使用 ※100均でOK)
・塗料用の缶
【コールマン ブリーズドーム270】に施工
フライシート1枚に対してシリコンシーラント20g,ペイントうすめ液200gで薄めた溶剤を
計2回塗布しました。POLON-Tほどは揮発しませんがあまり一度に沢山作らずに
何回かに分けて施工した方が溶剤を無駄にせずに済みそうです。
塗り始めは溶剤特有の匂いがしますが時間と共に揮発して匂いもなくなり
溶かしたシリコンの成分だけがフライシートに残るという訳ですね。
ネットの情報では希釈率は10%~20%程度で何回か重ね塗りするのが効果的みたいですが
シリコンの量を増やすと生地の表面がベトベトする様なので最初は薄目で試してみて
自分に合った希釈率を見つけるといいですね。
そして施工後のフライシートの撥水効果がこちら。
均一に雨を弾いて水玉になってますのでなかなかの撥水性ではないでしょうか。
後は効果がどの程度続くか耐久性を検証してみたいところですね。
材料費も安価で済みますので市販の撥水剤に比べて費用対効果は良さそうです!
【追記】
ちなみに上記の施工後に当キャンプ場では幕にアイロンを当てて熱処理をしていました。
この処理をどこで知ったかあいまいなのですが、熱処理した後の方が撥水が均一になっていました。
定かではありませんが熱を加える事でシリコンが幕に均一に浸透するのではないでしょうか??
アイロンの設定は化繊(ナイロン・ポリエステル)表示の温度で施工してください。
結構手間は掛かりますが、効果は上がると思います。
なお施工後3日程度経過していて特に不具合は見られませんが
溶剤の種類によっては裏面のPUコーティングを溶かしてしまうものもある様ですので
こちらもすべて施工の際は自己責任でお願いします。
【その後の検証】2022年7月更新
最近こちらのページへのアクセスが増えているのでその後の情報を追加します。
撥水加工をして1シーズン使ってみての感想ですが、
デメリットの部分を言うとフライシート内側の結露が結構増えました。
新品のものと撥水加工をしたものを同じ環境下で使用した際に
撥水加工したものは湿度がそれほど高くない夏の時期でも夜から朝にかけて
結露が付きやすく、ヘキサタープなど比較的通気性に良いものにも
結露が付いている状況でした。
幕表面の防水性が上がった事で幕の内側からの透湿性が下がり
この現象がおきているのかも知れません。
希釈率を変える事で改善できるのかも知れませんが現時点では未検証です。
この記事を見て撥水加工を考えている方はぜひ参考にして頂けましたら幸いです。